糸満晴明病院からのお知らせ
再飲酒の怖さについて
皆さんは再飲酒の怖さをご存じですか?アルコール依存症では、しばらく飲酒を止めていても、再び飲み始めると「最も酷かった状態」に逆戻りしてしまう怖さがあります。中には普通に飲酒できているように見える時期もありますが、これは一時的なもので、数ヶ月もしないうちに元の最悪の状態に戻るのがほとんどです。
最悪の状態とは?
飲み方の面では、再飲酒したその一杯が連続飲酒の出発点になります。特に身体疾患を抱えた人にとっては、疾患の再発や悪化を起こすため、まさに「死に向かう一歩」と言えるでしょう。
それだけでなく、心の状態も最悪だった時に戻ります。進行中のアルコール依存症の特徴である自己中心性や攻撃的(他罰的)態度、自己れんびん(自分をあわれむ気持ち)がよみがえってくるのです。
もう一度断酒すれば、回復するのでは?
確かにそのとおりです。しかし、最悪の状態からの再スタートは、前回よりもマイナス地点からのスタートとなります。つまり、再飲酒を繰り返せば繰り返すほど、回復は困難となっていくのです。アルコール依存症が「進行性で死に至る病」と言われるゆえんはここにあるのです。
再飲酒は防げますか?
防げます。多くの場合、再飲酒は突然に起こるものではなく、危機となりやすい状況(再発)に続いて起こります。
代表的なものとして・・・
*断酒を続ける自信が強くなったとき(無力を忘れた時)
*万能感や自己れんびんに陥っているとき
*人(仲間)への批判が強まったとき
*回復より先に、あまりにもいいことが起こるとき
などがあります。
これは、かつて酔っていたとき(病気が進行していたとき)の考え方と同じです。飲んでいないという意味では断酒していますが、すでに心はシラフではなくなっているのです。
3本柱、特に自助グループの参加を続けることで、同じ病気の仲間という鏡を通して自分を見つめることができ、再発にいち早く気づくことが出来るでしょう。