糸満晴明病院からのお知らせ

怒りへの対処はどうしていますか?

ビールを飲む男性

ARP(アルコール リハビリテーション プログラム)でどんな時にお酒に手が出てしまいそうですか?と質問すると、多くの方が「苛々するとき」と答えます。お酒を飲むと気持ちがスカッとするから・・・というのが飲む理由ですが、断酒継続のためにはこうした感情の対処も考えておかねばなりません。
今回はアイオワ大学のブッシュマン博士らの興味深い研究取り上げたいと思います。

ブッシュマン博士らの実験内容

この実験では被験者たちに「怒った時にはパンチングバッグを殴ると、怒りの解消に効果的!」という記事を読んでもらい、その後怒らせてみて、どんな行動に出るかを調べてみました。
その結果、パンチングバッグを殴った被験者は、叩くことを楽しんだものの、怒りは収まるどころか、怒りの対象の相手、ひいては関係のない人にまで怒りをぶつけるようになったそうです。
つまり、怒りの行動は、一度でも表現してしまうと広がってしまうということです。

したがって苛々したとき、暴言を吐きたいときは、瞬間的に行動するのではなく、まず深呼吸してみましょう。何か言いたいことがあっても、悪い言葉ではなく良い言葉に言い換えられないか、考えてみましょう。

飲酒欲求を防ぐ「思考ストップ法」

ARPでは、こうした瞬間的な怒りからくる飲酒欲求を防ぐために「思考ストップ法」を学んでいます。思考を切り替え、気持ちを落ち着かせる訓練を重ねることで、それが徐々に容易になり、結果として「すぐに爆発しない」人になっていきます。人格は日常の積み重ね、ですね!

怒りは、生物として原始的な脳の働き「大脳辺縁系」から起きる働きですが、人間はそれをコントロールする「大脳新皮質」が進化しています。つまり人間だからこそ怒りは抑えられるのです。
怒りは時間をおけば収まります。何より重要なのは、瞬間的に怒らず「怒らない選択も出来るんだ」ということを頭に入れて、ふぅ~っと深呼吸してみましょう。
(堀田秀吾著「科学的に元気になる方法、集めました」より一部引用)

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