糸満晴明病院からのお知らせ

断酒実践シリーズ「3本柱の実践~抗酒剤~」

断酒実践シリーズ

第3回「3本柱の実践~抗酒剤~」

アルコール依存症から回復し、糸満晴明病院でピア・カウンセラーをしている善平康照さん。断酒継続26年目となった今、断酒初期の頃を振り返ってもらいました。今回は「抗酒剤」について聞いてみました。

Q よく、抗酒剤に怖いイメージを持つ方がいますが、善平さんはどうでしたか?

 抗酒剤の捉え方は、その人の「断酒への決意」が固まっているかどうかで変わってくると思う。断酒への決意という前提があって、初めて抗酒剤の効果(苦しい反応)の解釈も変わってくるんじゃないかな。

抗酒剤を飲んで飲酒すると苦しい反応が出ることは、学習で十分に学んでいるから、よく分かっている。しかし、あんなに断酒を決意していたのに、自分の心の甘えや弱点で再飲酒してしまった。だから、反応の苦しさは自分自身に対するペナルティー、自分が自分に与えた「罰」なんだ、と考えることができた。

抗酒剤は敵ではないし、酒も敵ではない。ましてや、人から与えられた苦しみでもない。敵は自分の心の中にある弱さや甘えだから、抗酒剤の反応の苦しさも自分自身で受け入れなくてはいけない。断酒の決意があったからこそ、そう考えることが出来たと思う。だから、抗酒剤を怖いと感じたことはなかった。むしろ、怖いのは断酒への気の緩みや、甘えの方だよね。

Q 抗酒剤の効果を知るために、酒を「試し飲みしたい」と考えたことはありますか?

 実は「試し飲みして効果を知りたい」と考えたことはあった。怖いもの見たさってやつで、飲んだらどのくらい苦しくなるのか興味はあった。でも、実際は試すのではなく、再飲酒してしまって効果を知ることになってしまったけど。

僕の場合、抗酒剤が効きにくい体質だったようで、自分が想像していたより苦しさは少なかった。でも、再飲酒から立て直す時に、あまり効かないとわかっていたけど、先生に抗酒剤を出してもらった。断酒のために3本柱をしっかりやろう、という「心のけじめ」をつけるために、1年間は抗酒剤を飲み続けた。

この「抗酒剤の試し飲み」、これは絶対にしないほうがいい。試し飲みをすると「このくらいの量なら大丈夫そうだ」という、反応の隙間探しをしてしまう。断酒への決意を前提として服用したのに、「試し飲み」1つで効果が台無しになってしまう。反応の隙間探しをするより、「抗酒剤を飲んだから、もう飲めない」という反応の怖さを、やめる力に変えていこう!実際に抗酒剤を服用すると、その瞬間に心にブレーキがかかるのが分かるはず。断酒の決意を固めたら、それを抗酒剤でしっかりと支えていこう!

※次回は2月掲載予定です。

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