糸満晴明病院からのお知らせ

断酒実践シリーズ「3本柱の実践~通院~」

断酒実践シリーズ

第2回「3本柱の実践~通院~」

アルコール依存症から回復し、糸満晴明病院でピア・カウンセラーをしている善平康照さん。断酒継続26年目となった今、断酒初期の頃を振り返ってもらいました。今回は「通院」について聞いてみました。

Q 退院後、通院はどのくらい続けましたか?

 約1年近く、しっかり通院は続けた。最初の1~2か月は週に1回、そのあとは2週間に1回の基本に戻して、半年過ぎた頃から3週間、1ヶ月と徐々に期間を延ばしていった。最終的に1年くらいで通院終了になったんだけど、それと同時に抗酒剤も切ることが出来た。

なぜ、通院と抗酒剤が終了できたかというと、入院中から自助グループにしっかりと繋がり、退院後も他の何よりも「3本柱」を生活の最優先に置いたおかげで、断酒リズムが安定してきたから。仕事は2番に構え、半年間は外した。だから、退院後の1年で断酒生活のリズムが掴めるかどうかが重要なカギになると思う。実際は1年過ぎても飲酒欲求がなくなるわけじゃないし、心身の不調を感じる時もある。でも、自助グループの仲間の力のおかげで「飲まない」という選択を続けることが出来たから、それ以降は完全断酒、再発防止を継続することが出来ている。

Q 善平さんの考える「定期的な通院」のメリットは何でしょうか?

 通院の目的には抗酒剤や眠剤などの薬の処方もあるけど、1番の目的はそこではないと思う。毎回、主治医と断酒の確認作業を行い、常日頃からより良い「治療関係」「信頼関係」を築くことこそ、最も重要な目的だと思う。

考えてみれば、入院前は酒(モノ)との結びつきが強すぎて、人との信頼関係は薄かったように思う。酒が最優先になると、自己中心的になって孤立化していくから。だからこそ、主治医や自助グループの仲間と定期的に顔を合わせ、「人間同士」お互いに信頼関係を作っておくことが、万が一(再飲酒)の備えになるんだと思う。

常日頃から主治医との「治療関係」「信頼関係」を築いていたら、スリップ後の対処も変わってくる。診察時間はそんなに長くはないけど、約束の日、その時間を守って、主治医と会う。もちろん、再飲酒した場合でも正直に話す。たとえ薬がなくとも、主治医が終了というまで通い続ける。これが大切なんだと思う。主治医に対し正直でいられることは「心の回復」を早めるし、自分自身の断酒(生き方)の方向性を再確認できる。通院は薬の処方だけが目的ではないし、一生でもないんだから、しっかりと通って、きれいな形で終了しよう!

 

※次回は1月掲載予定です。

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