糸満は旧暦行事を楽しむ町☆すぐに仲良くなる3つの催し
糸満は「旧暦行事の町」として有名ですよね。
「大綱引き」と言えば、那覇大綱引きが代替的に催されていますが、一方で糸満大綱引きは、「地元民によるお祭り」として、コアな観光客が毎年見学に訪れるほどです。
糸満は町全体で旧暦行事を今に残し、旧正月や旧盆などにスーパーに行けば、沖縄ならではの御願道具が並ぶなど、毎月の糸満の旧暦行事を肌で感じ取ることができます。
そんななか、町全体で盛り上がる糸満の旧暦行事を3つ、お伝えします。
糸満は旧暦行事を楽しむ町☆
すぐに仲良くなる3つの催し
海へどんどん飛び込む?糸満ハーレー
初夏の時期に盛り上がる糸満の旧暦行事と言えば、「糸満ハーレー」ではないでしょうか。
地域による子ども会が盛んな糸満では、糸満ハーレーの前日に子どもハーレーが催され、この日のために子ども達は放課後に集まって、何日も練習に励みます。
一方、大人達も負けず劣らず、翌日の初春最大の糸満旧暦行事、糸満ハーレーに向かって、仕事の後に集まって、日が沈むまで練習するほどです。
【 糸満の旧暦行事☆糸満ハーレー 】
★ 漁師の町糸満では、旧暦行事「糸満ハーレー」は本来、海の神様へ捧げる奉納祈願です。
・ そのため、本格的な「アガイスープ」の優勝チームは、その後、地域の拝所「白銀堂」で、地元ユタさんの拝みと共に、奉納の踊りを行い報告をします。
「アガイスープ」とは一連の糸満ハーレーの最後のメインイベントとして催される、それぞれの地域(集落)で強い「漕ぎ手」が集まったチームによる、競争です。
糸満挙げて応援していますので、かなりの盛り上がりを見せます。
その前の余興は朝から行われ、最初は現役ウミンチュ(海人=地元の漁師)による競争から始まります。
前述した職域ハーレー(有志の集まり)や子どもハーレー(前日)の他、中学校の対抗ハーレー、青年団ハーレー、門中(※1)ハーレーまで、さまざまな競技が見ものです。
【 糸満の旧暦行事☆クンヌカセー 】
★ 糸満ハーレーで特に特徴的な競技は「クンヌカセー」ではないでしょうか。
・ 「クンヌカセー」とは沖縄語で「転覆(てんぷく)」を意味し、一度サバニ(※2)をひっくり返して、皆で乗り込み進みます。
さらに糸満ハーレーでの必見!は休憩時間中の「アヒル取り」です。多くのアヒルやスイカが糸満漁港に投げ入れられ、取った者は家に持ち帰ることができると言う、休憩時間の競技です。
見学に訪れた人々が誰でも参加できるため、漁港のあちこちから人々が飛び込み、漁港のなかをスイカやアヒルを追いかけて泳ぐ姿は、風物詩にもなりました。
【 糸満の旧暦行事☆ユッカヌヒー 】
★ この糸満ハーレーは、毎年旧暦五月四日に行われ、この日は学校も半ドン(午前中で終わる)などするほど、糸満の一大旧暦行事です。
・ 糸満ハーレーだけではなく、家庭でもちんぴんやポーポー(※3)をこしらえて、お仏壇へヒヌカン(※4)へお供えをする風習があります。
(※1)門中 … 父方の血族からなる一族を指します。沖縄では糸満の「幸地腹門中」が有名で、何千人にもなると言われ、法人化しています。
(※2)サバニ … 昔から伝わる沖縄の漁船で、ハーレーではこれを使用するため、別名が「サバニレース」です。
(※3)ちんぴんやポーポー … 沖縄の昔ながらのおやつで、黒砂糖を使った甘い巻物菓子が「ちんぴん」、肉みそなどを入れるのが「ポーポー」です。
(※4)ヒヌカン … 沖縄の台所の神様・火の神様で、「ウトゥーシドゥクル(お通し処)」とも言われ、沖縄のあらゆる神様への連絡係も担っています。
秋の風物詩と言えば、「糸満大綱引き」
旧暦五月四日の初春が「糸満ハーレー」なら、秋口の糸満の一大旧暦行事が「糸満大綱引き」ではないでしょうか。
冒頭でお伝えしたように、コアな観光客の間では有名な糸満の旧暦行事で、一般観光客に有名な「那覇大綱引き」と比べて、「地元民によるニッチな綱引き」として知られてきました。
糸満ではこの旧暦行事に合わせ、子ども会ではチンク隊(※5)やエイサー隊(※6)が練習を重ねて、当日になると練り歩きます。
この他にも地元婦人会による組踊りや、地元青年団の旗頭(※7)、地元ダンス教室によるダンスまで、大通りを地元の神様「白銀堂」へ向けて、次々と行列で進む姿も必見です。
もちろん、その周辺には数多くの出店が並び、なかには地元中学生によるお店も出されています。
【 糸満の旧暦行事☆糸満大綱引き 】
★ こちらは本来は、旧暦八月十五日の「ジューグヤ(十五夜)」に行われる月への拝み(月祭り)で、昔ながらの呼び名は「チチウガミ(月拝み)」です。
・ 練り歩きが終わり、夕方頃になるといよいよ大綱引きが行われます。太さは男性が一人入るのではないか…、と思うほど太く、長い綱を皆で引っ張り、その上で畳に乗って指揮を取る男性も必見です。
男性は「チョンダラー」と呼ばれる、ひょうきんな姿も見られ、夕方から夜に掛けて盛り上がります。
コチラも糸満ハーレーと同じく、学校が休校になったり、半ドン(午前授業)になったり…と、糸満では秋の一大旧暦行事です。
「これは地元民として参加するのは大変そうだな~」と感じた方もいるかもしれません。
積極的に参加をすれば大変な仕事を任されることもあるかもしれませんが、実はこの糸満大綱引きは、中学校で朝から現地へ集合するので、地元中学生がこぞって準備をしてくれます。
その一か月前から、それぞれの自治会や子ども会で、綱をなう行事もありますが参加は自由です。(地元の子ども達が出掛ける姿もあるので、いざ参加すると楽しいかもしれません。)
(※5)チンク隊 … 主に小学校就学前の3歳頃~6歳頃からなる集まりで、小さな太鼓や「パーランクー」と呼ばれる沖縄の太鼓を叩いて練り歩きます。
(※6)エイサー隊 … 糸満の旧暦行事では、子ども会であれば主に小学生が多いです。沖縄の昔ながらの伝統踊り「エイサー」を踊ります。
(※7)旗頭 … 沖縄の青年会や子ども会では、エイサーを行う地域もあれば、大きな旗を持ち上げて上下に揺らす「旗頭」に力を入れる地域もあります。
青年団の見せ場!糸満旧盆エイサー
糸満の旧暦行事には、旧暦一月一日の「旧正月」と旧暦七月十三日~十五日に行う「旧盆」は欠かすことができませんよね。
糸満の旧暦行事に限らず、沖縄県全体で、この旧正月や旧盆は今も盛んですが、子ども会や青年会が今も盛んな糸満では旧暦行事の催し物が有名です。
特に沖縄の風物詩とも言える、旧盆の練り歩き行事「エイサー」は、「糸満エイサー」として、あらゆる媒体で紹介され、観客も増えました。
ちなみに沖縄の旧盆は「旧暦」七月十三日~十五日の三日間に渡り行うため、新暦八月十三日~十五日が多い全国の日程とは、毎年ずれることが多いです。
【 糸満の旧暦行事☆糸満旧盆エイサー 】
★ 旧盆のエイサーは道を練り歩くため「道じゅねー(道練り歩き)」と呼ばれますが、旧盆最終日の十五日…、沖縄では「ウークイ(お見送り)」の日に行う地域が一般的です。
・ ただ観客も増えた今では、人数の多い青年団を持つ地域などで、三日間に渡る「道じゅねー」を見ることができます。
前回2019年度の例でいえば、米須青年会や武富青年会、大里青年会は旧暦七月十五日に道じゅねーが行われ、西崎青年会のみ、旧暦七月十三日~十五日の三日間に分けて開催されました。
沖縄では旧盆で行う、ご先祖様のお見送りが夕方以降とされるため、道じゅねーも日が暮れる頃から夜に掛けて、練り歩く地域がほとんどです。
糸満でも2019年の例では、西崎青年会は三日間を通して16:00~、大里青年会は18:30~の早い開催となったものの夕方で、米須青年会と武富青年会では20:00~と遅い時間帯でした。
いかがでしたでしょうか、今日は沖縄でも最も盛んな糸満の旧暦行事についてお伝えしました。糸満では家庭でも旧暦行事を大切にしています。
そのため、本文でもお伝えしたように、糸満ハーレーではちんぴんやポーポーなどのおやつを…、ジューグヤ(十五夜)では「フチャギ」と呼ばれる、小豆をまぶしたお餅などをお供えし、拝んできました。
寒い時期になれば健康祈願のために、月桃の葉にくるんだお餅を食べる「ムーチー」も有名ですが、糸満ではこの旧暦行事のために、畑などで月桃を収穫し、家族でお餅を作る家庭も見受けられます。
せっかく糸満が旧暦行事が盛んな町ですから、思い切り参加して楽しんでみてはいかがでしょうか。
まとめ
糸満で盛んな3つの旧暦行事とは
・旧暦五月四日の「糸満ハーレー」
・旧暦八月十五日の「糸満大綱引き」
・旧盆最終日の「糸満旧盆エイサー」