糸満晴明病院からのお知らせ

家族ができる治療的行動について

アルコール依存症者から断酒の気持ちを引き出すには、目の前で起こる出来事(飲酒問題)に囚われず、正しいスタンスで接していくことが重要です。今回はご家族ができる6つの捉え方を学んでいきましょう。

1 正しい知識を持つ

病気としての正しい知識を持つことで、目の前で起こる出来事(飲酒問題)に冷静に対応出来るようになります。家族会や病院の家族教室などに積極的に参加しましょう。

2 無力を知る

アルコール依存症者の飲酒は、家族や周囲の人の力で止めさせることは出来ません。コントロール障害があるので、酒量を減らすことも不可能です。家族も本人同様「酒に対し無力」であること、これが正しい対応の出発点になります。

3 酒と闘わない

本人が酒を買いに行こうとしても、隠し酒を見つけても、それと闘わないことです。なぜならアルコール依存症者はどんな方法を使っても酒を手に入れることが出来るからです。それがこの病気の症状(コントロール障害)なのです。目の前の酒を捨てることは何の解決にもならず、本人の飲酒の限界(=直面化)を遅らせ病気を進行させます。

4 後始末をしない

アルコール依存症者は「飲酒コントロール障害」のために、自らの飲酒に限界がくるものです。しかし、周囲の人が後始末(酔っていた時の痕跡をなくす)をすることで、酒害との直面化が遅れていきます。危険な状況でないかぎり、飲酒が原因で起こしたことは本人に返していくようにしましょう。

5 飲酒を責めない、言葉の脅しを使わない

本人に持ってもらいたいのは「これ以上飲み続けたら危ない」「なんとかしなければ…」という認識です。しかし、周囲の叱責が飲酒問題の直面化を遅らせてしまう場合があります。「お前がうるさいから苛々して飲むんだ」と、自分の飲酒問題が他者との関係性にすり替わり、自尊心を守ろうと否認が深まっていきます。

また、「今度飲んだら離婚する」等の言葉の脅しも、軽はずみに使わないようにしましょう。言葉の重みが失われます。口に出したことは実行し、実行できないことを口に出すのはやめましょう。叱責や脅しでは、依存症者の飲酒は止まりません。

6 仲間に支えてもらう

アルコール依存症は「巻き込みの病」です。飲酒中の依存症者と接すると、家族も心のバランスが崩れていきます。病院や保健所などのサポートだけでなく、同じ問題を克服された家族会の方の支えを得ましょう。ご家族の出席が、本人の気づきを早めます。

 

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