糸満晴明病院からのお知らせ

講演会報告(アルコール依存症について)

年末年始は飲酒機会の増える時期…。皆さんは節度あるお酒との付き合いかたをされていますか?
昨年11/30に那覇市保健所で行われた「こころの健康」市民講座では、当院の稲冨仁院長が沖縄県の飲酒状況とアルコール依存症についての講演を行いました。

沖縄は男女ともに飲酒の割合が高め

沖縄県は飲酒に対して寛容な県というイメージがありますが、飲酒者の割合は男性90.6%(全国77.8%)、女性76.5%(全国53.8%)と多く、多量飲酒者(1日平均純アルコール100gを超えた飲酒。例えばビール(500)なら5本、泡盛なら5合以上)の割合も、男性30.3%(全国1.7%)、女性13.6%(全国0.3%)と全国に比べ大幅に高くなっています。
こうした数字からも、沖縄県民は生活習慣病のリスクを高める飲酒者の割合が高く、実際にアルコール性肝疾患の死亡率は全国平均の2倍で、男女ともに1位となっています。

アルコール依存症は「脳の病気」

さらに、アルコール依存症の疑いのある人の割合も、男性14.0%(全国の約2.6倍)、女性4.5%(全国の7.5倍)と高くなっています。
アルコール依存症は、飲酒すると止まらなくなる「脳の病気」です。この病気はアルコールという依存性物質を長年使用した結果、発病します。症状としては、飲酒のコントロールが効かず、飲む度に多量飲酒になってしまうこと、酒が切れると手の震えや苛々、不眠や幻覚などの離脱症状が出てくること、ブラックアウト(記憶の欠落)が起きたりすること、などがあります。

正しい知識とリハビリで回復の道へ

「しかし、断酒することで回復できる病気です。」と稲冨院長は続けます。正しい知識を得て、飲酒しない生活のリハビリテーションを行うことで、飲酒の囚われから心身ともに開放され、穏やかな生活を取り戻せるのです!
実際のところ、当院のプログラムを受けて1年程度断酒出来ている人の割合は2~3割程度で、入退院を繰り返す患者さんが多いのも事実です。しかし、一度の受診・入院で全てを解決しようとせずに、周囲の助けを得ながら諦めずに断酒にチャレンジしていくとき、回復の道は徐々に開けてゆくでしょう。

アルコール依存症は病気です。困った時は誰かに相談して下さい。当院はアルコール依存症に対する治療経験豊富な医師が多数います。
ぜひ、沖縄県民の健康増進のため、飲酒問題の解決の手助けをさせて頂ければと思います。

 

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