糸満晴明病院からのお知らせ

断酒実践シリーズ「3本柱~自助グループ①~」

断酒実践シリーズ

第4回 「3本柱~自助グループ①~」

アルコール依存症から回復し、糸満晴明病院でピア・カウンセラーをしている善平康照さん。今回は「自助グループ」について聞いてみました。

Q 自助グループに繋がったいきさつを教えて下さい。

 最初の入院の時に、妻がアルコール家族教室に参加していて、そこで自助グループについて学んでいた。後で知ったことなんだけど、僕が入院中に妻は一人で断酒会に参加して、先に回復者を見ていたんだよね。僕はまだ否認の塊だったけど、妻が先に回復者を見ていたことが、後々の僕の断酒回復への大きな手助けになったと思う。

だって、家族はアルコール依存症者は本人1人しか知らないわけでしょ?それもタチの悪い飲んだくれ(笑)。それが、断酒会に参加すると、様々な回復者を見ることが出来るから、「本当に病気なんだ!酒が本人を狂わしていたんだ。本人も家族も、こんなにも回復できるんだ」って、家族自身が気づけるようになる。そして、病気に対しても正しい認識が持てるようになって、回復が理想ではなく「現実」のものとして捉えられるようになる。ホント、自助グループの持つ力って大きいよね。

そして、僕は「縁」にも恵まれていた。何と、妻が参加していた断酒会の会長の奥さんが、僕の小学校の時の担任の先生だった!僕の名前は珍しいから、すぐに「あの善平君ね!」って思い出してくれた。その上、家まで近かったから、僕が断酒に向けて歩み出したときには、家族ぐるみで交流し支えになってくれた。

僕が断酒を決意したのが3回目の入院の時だったから、その半年以上前に、妻が先に自助グループへのレールを敷いてくれていたことになる。それがとても大きかった。

本人が認めてなくても、家族が先にレールを敷いていれば、本人の気づきが始まったときに、すぐにそのレールに乗って自助グループに繋がることが出来る。止めようというタイミングが来たときに、こうした家族や周囲の理解・協力があるのとないのとでは、断酒実践のしやすさはかなり違ってくると思う。

アルコール依存症になると内面にこもりがちになる。「どうせ誰も俺のことなんて分かってくれない」って心を閉ざしてしまう。飲んでも飲まなくても苦しいし、酒を入れないと、体がバクバクしてどうにかなりそうになる。飲んだら救われるかっていうと、ほんの一時で、その後もっと苦しくて心が張り裂けそうになる。その苦しみを、自助グループの先行く仲間は「分かって」くれる。分かってくれていることが、自分でも直感的に感じ取れる。ホント、「共感と癒やし」だよね。次回は、この点をお伝えしたいと思う。

 

※次回は3月に掲載予定です。

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