アルコール依存治療

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約30年以上にわたる治療実績。多彩なプログラムを準備しています。
沖縄県内唯一の「アルコール依存症専門病棟」です。

アルコール依存症とは

飲み続けることで進行していく病気。早期発見・早期治療がカギ。

飲酒のコントロールができない病気

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アルコール依存症は、飲酒のコントロールを失う「病気」です。
普通の人は飲酒量を調整して飲むことができますが、アルコール依存症になるとそれが不可能になります。そのため、「酒をやめよう」と固く決心しても意思力だけでは酒を止め続けることができず、飲んではいけないような状況でも飲酒したり、酒がなくな
ると落ち着かなくなったりします。

しばらく酒を止めようと試みても、すぐに「ちょっとだけなら…」と飲酒が始まり、もとの飲み方に戻ってしまいます。
そのうちに身体から酒が切れると手の震えや発汗、イライラ感や落ち込みといった「離脱症状」も起こり、ますます飲酒が止められなくなってきます。

進行していく病気

アルコール依存症は何も治療的な行動をせずに暮らしていると、身体の病気が深刻化するだけでなく心の健康も損なわれていき、仕事や家庭機能を失うなどの社会的問題も起こしながら進行していきます。

酒を失う恐怖から「これくらい誰でも飲んでいる」「依存症までにはなってない」「やめようと思えばいつでもやめられる」といった否認が働くため、飲酒問題を軽視し隠し続けます。
その結果、状況はますます深刻化し、取り返しのつかない影響が増えていきます。
多くの病気がそうであるように、アルコール依存症も早期治療が重要です。

回復する病気

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ひとたびアルコール依存症になると、飲酒コントロールが効かない体質は一生戻ることはありません。
「再発準備性」があるため、何年か断酒したとしても再び飲酒すれば元の飲み方に戻ってしまいます。
そのため、アルコール依存症の治療は「断酒」であり、飲まない生活を継続しつつ心身や日常生活の「回復」を目指すものになります。

アルコール依存症の治療

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断酒への意識づけを助ける多彩なプログラムがあります。

アルコール依存症の治療とは

アルコール依存症の治療には、専門外来への通院や自助グループ、ご家族の協力が必要です。

専門外来への通院によって、断酒後の心身の管理や抗酒剤・断酒補助剤などの処方、再飲酒した際の立て直しなど、断酒生活のサポートを行います。

自助グループは、同じ依存症を持つ仲間同士が集い、互いに援助しあう集団のことです。
体験談を聞くことで気づきと共感が得られ、語ることで心の回復が促されます。
また、実際に断酒を続けている仲間を知ることで回復の希望が持てます。

外来で治療を行うか、入院治療となるかは、心身の状態によって担当医が判断します。
入院の場合は2カ月半~3か月に治療プログラムを受けていただきます。

入院治療の流れ

入院は約2ヶ月半の治療プログラムを基本としています。
入院後約2週間は身体の解毒治療(離脱症状を安全に乗り切るための治療)と基礎学習を受けて頂きます。
これをⅠ期治療と呼んでいます。

その後の8週間はARP(アルコール・リハビリテーション・プログラム)と呼ばれるⅡ期治療を受けて頂きます。
ここではアルコール依存症についての正しい知識や再発を防ぐ方法を学んだり、抗酒剤・断酒補助剤などの薬物療法、自助グループへの参加、外出泊訓練などが行われます。

クリニカルパスによって、標準化された治療スケジュールを実施しています。

入院治療の流れ

プログラムの内容

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当院ではオリジナルテキストを用い、飲酒をテーマにした様々なプログラムを実施しています。お酒をやめるための具体的な方法を、基礎から応用へと段階的に学ぶことが出来ますので、断酒への行動化が促されます。
実際、自助グループに繋がり断酒を続けている方の多くは、専門治療機関の治療を経て断酒をスタートさせています。

Ⅱ期治療のプログラム

土・日
午前 再発予防
プログラム
回診 瞑想 再発予防
プログラム
運動療法 外出外泊訓練
自助グループ
参加
午後 自助グループ
形式ミーティング
ALPS
ビデオ学習
ビデオ学習
勉強会
リカバリー
ミーティング
ガイア
ミーティング
院内・院外
自助グループ参加
院内・院外
自助グループ参加
外出外泊訓練

病棟の治療環境

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当病棟は県内唯一のアルコール治療専門病棟です。
一般病室40床、観察室3床があり、Dルームには個人席を準備しています。女子専用Dルームもあります。

治療には医師、看護師、精神保健福祉士、臨床心理士、薬剤師のほか、ピア・カウンセラー(※)も関わり、幅広い支援を実施しているのが特徴です。
また、同じ病気の仲間と共に入院治療を行うことで、様々な立場の人の飲酒に対する考え方を知り、自分自身はどうだったかと振り返ることが出来ます。酒害体験の共有は仲間との連帯感を生み出し、断酒への意識変化につながります。

同じアルコール依存症という病気を持ち、断酒継続のための様々なアドバイスや相談にのるスタッフのこと。

よくある質問

病棟の治療環境

アルコール依存症は誤解や偏見が多い病気。正しい知識を得ましょう。

アルコール依存症は、普通の酒飲みとどこが違うのですか?

最も大きな違いは、飲酒をコントロールできるかという点です。
普通の酒飲みが「今日はこれでやめよう」と飲酒を止められるのに対し、アルコール依存症者の場合は少しでも酒を口にすると程よい量で止めることが出来ません。そのため、飲み過ぎて問題を起こしてしまうことも多々あります。
また、体内からアルコールが切れてくると、手の震えや汗が出る、苛々するなどの「離脱症状」が見られることもあります。

毎日飲みはしますが、ビールだけです。依存症ではないのでは?

アルコールの主成分はエチルアルコールという依存性薬物です。
このエチルアルコールによってアルコール依存症が発症するのです。確かにアルコール度数5%のビールと25%の泡盛では含まれるアルコールの量は違いますが、沢山飲めば同じです。
依存症は飲んだ酒の種類で診断されるわけではありません。

私は仕事ができているので、依存症ではないのでは?

アルコール依存症は進行性の病気です。
初期は飲酒しないと落ち着かない、飲酒時間が待ち遠しい、といった精神依存から始まりますが、中期になると手の震え、発汗、不眠、苛々などの身体症状(離脱症状)が出始めます。それを隠すために、嘘をついたり隠れ飲みといった行動が起こりますが、多くの人はそれを隠しながら仕事をこなしています。

依存症後期になると飲酒問題が深刻化し、仕事に支障をきたして離職、経済基盤の損失や家庭内不和からの離婚、重度の身体疾患に至るなど取り返しのつかない問題にまで発展していきます。仕事の有無で依存症は診断されるわけではありません。

酒が切れても手が震えたりしないので、依存症ではないのでは?

手の震えなどの離脱症状はアルコール依存症の診断基準の1つですが、依存症はそれだけで診断されるわけではありません。中には手の震えなどの離脱症状がほとんど出ない方もいます。
アルコール依存症は専門医が問診を行い、飲酒によって起きている状況を総合的に判断して診断が下されます。
依存症について心配されるなら、まずAUDITなどのスクリーニングテストを用いてご自身の飲酒状況を客観的にチェックしてみるのは如何でしょうか。

意志を強く持てば、飲酒は止められるのでは?

アルコール依存症は、脳の飲酒調整機能を失う病気です。酒をやめたいという気持ちはとても大切ですが、気持ちだけで飲酒が止まるなら依存症は病気ではありません。
他の病気(アレルギーや癌、虫歯など)も気持ちだけでどうにか出来るものではないのと同じです。専門医療で依存症について学び、飲酒欲求についての対処や心身の状態を確認しながら「断酒」を継続すること、これがアルコール依存症の治療となります。

アルコール依存症は、治りますか?また飲酒が出来ますか?

一度アルコール依存症になってしまうと、失われた飲酒コントロールを取り戻すことは出来ません。
節酒できない体質になった、ということです。そのため数年断酒したとしても再び飲酒すれば、飲酒が止まらず生活が破綻します。そういう意味ではアルコール依存症は治りません。しかし、断酒を続けることで心身の
健康や日常生活を取り戻すことができる、という意味では「回復できる病気」とも言えます。

全てを酒で失いました。今さら飲酒をやめても、どうしようもないのでは?

アルコール依存症になると身体の健康だけでなく、心の健康も失います。「本当は家族に迷惑をかけずに生活したい」「酒をやめて立ち直りたい」という気持ちがある反面、飲酒すると「もうどうでもいい」といったやけっぱちな気持ちや、「自分の人生は自分で決める」といった開き直り、他者への攻撃、「あの人よりはマシ」といった比較や否認の気持ちが出てきます。あたかも自分自身の中に相反する2人が存在するかのように、考えが揺れ動きます。
脳に作用し気分を変化させる薬物であるエチルアルコールに対する依存、それがアルコール依存症だということを思い出しましょう。治療を受け断酒することで、健康になりたい、人生を取り戻したいという心が蘇ってくるはずです。

しかし、気分の落ち込みが続く場合、別の病気の可能性もあります。実際、アルコール依存症とうつ病の併発率は30%を超えると言われています。うつ病の治療も断酒しなければ開始出来ませんので、まずは専門医療に受診することが重要です

治療は入院しかないのでしょうか?

人によって依存症の程度(進行度)や心身のダメージが異なります。
担当医が総合的に判断して入院治療を勧める場合もありますし、外来通院で治療していく場合もあります。

依存症の治療はいつまで続くのですか?

数十年の飲酒習慣から発病するアルコール依存症は、急速に回復できる病気ではありません。
特に断酒後1年間は心身共に不安定な状態になりやすく、再飲酒の危険性が高い時期といえます。専門医療での治療は主治医と相談しつつ、終了の判断をもらうまでは続けていきましょう。他の精神疾患の合併がなく、断酒が順調に進めば治療は終了となります。

初診の際、どんなことを聞かれるのですか?飲酒での失敗は正直話したくないのですが。

アルコール依存症は長い年月をかけて発症する病気です。正確な診断をするために、普段の飲酒量だけでなく、飲酒によっていつからどのような問題が生じているのか、それについてどう感じているのか、そのような状況に陥った背景は何か、などをお聞きします。
依存症は病気ですので、飲酒行動を責めたりはしません。正直に話していただくことが、その後の治療方針の決定に役立ちますので、初診時はご家族も一緒に来院していただき話を伺っています。

家族はどう接したらよいでしょうか?

最も重要なことは回復を信じることです。
これまで依存症者の飲酒問題に振り回されてきたご家族にとっては、回復を信じることが難しい場合もあるでしょう。しかし、依存症についての正しい知識や対応を学び、実際に回復した依存症者や家族を知ることで、回復が現実のものであると希望を持つことができます。

病院の家族教室や地域の自助グループ、家族会に参加することで、アルコール依存症という病気への理解が進み、接し方を学んでいくことができます。